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法人決算は自分で出来る?|決算書作成の基礎知識

個人の確定申告とは異なり法人決算は、より煩雑な仕組みになっています。よって、法人決算を自分ひとりで行う場合には、決算書作成における最低限の基礎知識を得ておく必要があります。

また、決算の目的や流れなども理解しておくことで、スムーズかつ期限内に法人決算を進めることが出来ます。そこで本記事では、法人決算の概要やおおまかな流れや提出書類、税理士に頼むメリット、おすすめの会計ソフトなどを解説します。

法人決算とは

決算とは、企業における年間の「収益」「費用」「資産」「負債」などを計算し、損益といった経営成績や財産状況を確定させ、書類を作成する一連のことを指します。そこで作成した書類が決算書です。

決算書をもとに支払う税金を確定させ、税務署に書類を提出することを決算申告といいます。税金の申告や納付には期限があり、それに間に合うように法人決算の準備を進める必要があります。

法人決算の目的は大きくわけて4つあります。

  • 正しく税金を申告する
  • 株主総会で株主に業績報告をする
  • 業績を分析、改善する
  • 銀行からの融資を受ける際に決算書が必要なため

法人決算作成の流れ

続いては法人決算の流れです。大きく分けて次の5ステップに分かれます。それぞれで行う内容について解説します。

1.当年分の記帳を行う

法人決算の最初に行うのは、当年分の記帳を完了させることです。法人決算は帳簿をもとに進めます。
帳簿とは事業の取引やお金の流れを記録するものであり、決算時には全取引の記帳が必要です。特に法人の場合は記帳する情報が多く、日常から記帳をしていないと膨大な作業になります。
慌てて記帳をすればミスの元にもなりかねません。できる限り記帳は溜めないようにしましょう。

2.決算前にチェックのために試算表を作成

当年分の記帳について確認や保存が終われば、次は試算表を作成します。試算表とは決算書作成よりも前段階で作成する集計表であり「総勘定元帳」を基に作成するものです。
試算表を作成し記帳の整合性をチェックします。試算表の借方、貸方の合計値は必ず一致しなければなりません。合計値が異なる場合は仕訳やテータ入力にミスがあることになります。

3.決算整理仕訳で修正や追加を行う

次は決算整理仕訳によって期中に行った仕訳の修正や追加を行います。つまり、決算書作成の前に未処理の取引を整理するのです。具体的には決算整理仕訳で次のような処理を行います。

  • 売上原価の計算
  • 経過勘定の計上
  • 減価償却費の計上
  • 有価証券の評価替え
  • 各種引当金の計上

決算整理仕訳を終えたら、試算表を改めて確定させます。

4.年間収支や財産状況をまとめた決算書を作成

決算整理仕訳が完了し試算表が確定した後は、年間の収支や財産状況をまとめた「決算書」を作成します。法人の決算書作成に必要な書類は8種類です。

詳しい提出書類については後述していますので、そちらをご確認ください。決算書は通称であり、金融商品取引法では「財務諸表」会社法では「計算書類」と呼びます。

5.税金に関する申告書を作成し納税する

決算書が作成できたら法人税申告書を作成し納税します。法人税申告書とは、年間利益に対して企業が支払う法人税の計算に必要な書類のことです。法人が申告納税する税金には次のようなものがあります。

  • 法人税
  • 消費税
  • 法人事業税
  • 法人住民税
  • 地方法人税

提出先及び納税先は、各税金ごとに異なるため注意してください。また、申告書の提出と各税金の納付は原則、期末日の翌日から2ヵ月以内を期限としています。

決算書作成に必要な提出書類

前述のとおり決算整理仕訳後、試算表が完成すれば、年間の収支や財産状況をまとめた「決算書」を作成します。この決算書作成に必要な提出書類は、次の8種類です。

書類の名称
書類の概要
総勘定元帳事業にかかる全取引を勘定科目ごとに取引順に並べて集計した帳簿
領収書綴り領収書を整理した書類
勘定科目明細書貸借対照表と損益計算書に記載のある勘定科目の内訳を記載した書類
概況説明書事業内容や取引先、従業員数、経理状況、売上げなどを詳しく記した書類
法人税申告書会計上の利益から課税所得を算出して法人税の税額計算を行う書類
消費税申告書消費税および地方消費税を計算し納税するための書類
地方税申告書法人が地方公共団体に納める税額を申告する書類
税務代理権限証書税務調査等について税理士が代行する場合に税務署に提出する書類

法人決算の期限

法人の決算時期に決まりはなく、事業年度を会社ごとに自由に決めることができます。3月末か12月末を年度末としている企業が多くみられます。
法人税の申告期限は事業年度が終了の翌日から「2ヵ月以内」となります。つまり、決算日から「2ヵ月以内」に決算書から法人税申告書までを作成して申告納税をしなくてはいけないというわけです。
なお、会社法では決算日から3ヵ月以内に株主総会を開催すればよいことから、株主総会を待ってから申告をする企業もありますが、これは特例によるものです。
決算書の作成には準備することも多いので、できる限り早く進めていくことをおすすめします。

決算書作成は税理士に頼むべき?

決算書作成を税理士に頼むべきかどうかは悩みどころです。そこで、法人決算を税理士に頼んだ場合のメリットとデメリットをそれぞれ解説します。

法人決算を税理士に頼んだ場合のメリット

法人決算を税理士に頼む最大のメリットは決算処理にかかる手間が省ける点です。決算処理には正確性が求められ、煩雑な計算もあることから膨大な時間がかかります。

もし誤った決算書を提出すれば、税務署から修正を求められるでしょう。修正だけならまだしも、税務調査が発生する可能性もあるのです。

税の専門家である税理士に任せることで、決算処理のミスや本来の業務への影響を軽減できます。また、税理士によっては節税や経営計画へのアドバイスも期待できるでしょう。

法人決算を税理士に頼んだ場合のデメリット

法人決算を税理士に頼むデメリットはコストが発生することです。法人決算を依頼する場合、税理士に対して顧問料を支払う必要があります。

税理士事務所ごとに料金は異なりますが、一般的に5万円から20万円という外注コストが発生するでしょう。また、税理士との相性も重要です。税理士は法人決算の代行業者ではありません。税の専門家として、経営の良きパートナーとなる存在です。

しかし「適切なアドバイスがない」「こちらの意見を聞いてくれない」といった不満を感じる場合もあるでしょう。相性によっては経営にも影響しかねません。

決算書作成は会計ソフトを使うと便利

もし自分で決算を行う場合は、会計ソフトを使うと便利です。その際は「マネーフォワード クラウド会計」をおすすめします。

個人事業主から大企業でも利用できる幅広いサービス展開が特徴です。銀行口座やクレジットカードはもちろんのこと、マネーフォワード社の勤怠管理や経費精算などのシステムと連携することで業務の効率化も図れます。

機能制限はあるものの、個人向けサービスは無料で利用できます。まずは無料からはじめて、その内容を試してみてください。

法人決算は自分ひとりでも行うことも可能!

ここまで法人決算の概要やおおまかな流れ、提出書類、おすすめの会計ソフトなどを解説しました。法人決算の仕組みは煩雑で簡単ではありません。

自分ひとりで決算を行う場合に重要なのが毎月の経理処理です。これを正確に実施すれば決して自分ひとりではできないものではありません。会計ソフトを上手く利用し、自分ひとりでも法人決算ができるようチャレンジしてみてください。

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